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第4回 : ハワイ不動産、日米の違い2

このコラムでは、ハワイへの進出、又はハワイでの起業に際して必要となる「拠点」、不動産用語では「箱」などとも呼びますが、「大事な自分の城」となります。その選定、確保、開業まで不動産屋の視点と言葉でアドバイスします。

アロハ~。スターツハワイの池田多聞です。前回「ハワイ不動産、日米の違い1」で三発目の発信をさせて頂きました。書くこと自体は苦じゃないし、僕に事後相談にいらっしゃるトラぶった方達が本当に可哀想で、正義感に燃えてコラムを書いていますが、本業がパンパンで、原稿が間に合うかヒヤヒヤ状態です。

さて今回は、日本であまり馴染みのない「商業不動産取引に際してのプレミアム」に関し、詳細をご説明させて頂きます。プレミアムはこちらの不動産用語で“キーマネー"などとも呼ばれますが、日本的に考えると、将来戻ってくる敷金とは異なり、払いきりの礼金のようなものです。その構成要素は大きく分けて3つあり、①リースの価値 ②設備の価値 ③暖簾権となります。

商業不動産取引に際してのプレミアム

クライアントである「吉」さんの前で記念撮影しました!

1. リースの価値

人気の立地でなかなかそこへは出店できないような希少価値、または通常相場より廉価の賃料が設定されているなど、現テナントが確保している市場よりも有利な権利などの対価となります。

2. 設備の価値

現テナントが開業に際して投資した内装、つまりレストランであれば厨房機器などの対価となります。当地の業界用語ではFF&Eという標記がされ、これはFixture(造作)、Furniture(家具)、Equipment(器具)の略称です。造作に関しては、通常の商業リースでは仮にテナントが投資して造ったものでも、建物の一部となりますので所有権は家主に帰属しますが、その場所でビジネスを行なう際に有用な場合は、新たなテナントへの価値の移行と考えます。家具と器具は動産の売買と考えてよいと思います。

3. 暖簾権

大手チェーンの店舗を引き継ぐ場合などに発生しますが、僕のクライアントの場合は日本発に加え、独自ブランドでの勝負なので、居抜きのレストラン取引などでも実際に当該金が発生した事例を扱ったことはありません。なお、10何年以上前にEggs’n Thingsの日本初進出にかかわる取引に絡みましたが、これはアメリカでいうフランチャイズ契約の交渉であり、特にハワイ州の同規制はとても厳しく難しかった記憶があります。創業者のJan Fukunagaさんを日本まで招待したのですが、残念ながら僕のクライアントとの契約はうまくいきませんでした。

プレミアムについては、通常それが要求される居抜き(または既存)とプレミアムのない新規という比較もされます。居抜きや既存店があった場所は、同種で開業する場合、既に用途規制につきホノルル市からの了承を得ているということで不確定要素が減りますし、レストランなどの場合は、間違いなくリカーライセンスが取れるなどの安心材料があります。新規はプレミアムの支払いがないですが、そこでクライアントがやりたい業態ができない危険性もはらんでいます。僕の過去の経験でも、あるエリアの排水権をホノルル市が大手コンドミニアム開発業者に既に売却済みだったため、その権利を同業者から何とか交渉して購入し、レストラン開業に漕ぎ着けたことがあります。また僕のクライアントではありませんでしたが、新たにカフェ開業までたどり着いた経営者が、その後ビールやワインも売り出したくて住宅密集地域でリカーライセンスを申請したのですが、公聴会で大反対を受け、同申請が却下されたなどの例があります。レストランの場合、プレミアムを支払い居抜きで物件を取得し改修を加えるのと、それを支払わず新規でさらから作り上げるケースがありますが、クライアントの初期投資額でいうと、結局はどちらも30万ドルから50万ドル程度の支出が必要となります。

最後に、プレミアムは誰に支払うのかという疑問が生じるかと思いますが、そのほとんどが家主ではなく現テナントとなります。そのパターンもいろいろです。a)行列伝説のマキノさんは大繁盛店をプロデュースして、高値で売り抜けるのが得意でしたし、b)開業してうまくいかず、何とか最小限で出血を止めようと、営業を続けながら売り出す人、そしてc)既に営業を続けるも、人件費がかかりすぎて、家賃負担覚悟で店舗を閉鎖した後に売却する人がいます。当然、c)のパターンが一番売りづらく、プレミアム額も叩かれるというのが僕の経験から言えます。

次回は読者の皆様からいただいた質問に「Q&A形式」でお答えします。