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第8回 : ハワイ不動産 ~ビジネスのクローズについて~

このコラムでは、ハワイへの進出、又はハワイでの起業に際して必要となる「拠点」、不動産用語では「箱」などとも呼びますが、「大事な自分の城」となります。その選定、確保、開業まで不動産屋の視点と言葉でアドバイスします。

“飛ぶ鳥跡を濁さず?"ビジネスからの撤退

事業撤退とは無縁のお店もたくさんあります!ホノルルで人気を誇る繁盛ラーメン店“わがや"さんの前で記念撮影

アロハ~。スターツハワイの池田多聞です。今年の8月はオリンピックの夏。日本はメダルラッシュでしたね。スポーツ大国のアメリカには敵いませんが、あんな小さい国が世界的にも獲得メダル数で上位だったのはアッパレです。そんな中、今回は編集部の意向で、標題の「ビジネスからの撤退」についてご説明いたします。好きな題目ではありませんが、ビジネスをする上で、知っておくことが必須なのは確かです。僕のクライアントには、すでに起業されている大規模な会社や、または僕がかかわるなかで大成功していった企業もありますが、当然、ハワイでの成功を夢見て起業し散っていってしまった方も少なくありません。特に競争の激しい飲食で言えば、一般的にハワイで成功する(定義=5年以上の繁栄)割合は2割。もちろん僕のクライアントさんは、それよりも生き残る率は高いですが、それでも4割程度かと思います。「飛ぶ鳥跡を濁さず」とは言うものの、撤退する段になったら、何をアドバイスされようが「そんなの関係ない」と思われるかもしれませんが、そうでもありません。

撤退時のシミュレーションを行っておく

以前のコラムでも掲載した通り、日本ほど現状復帰に対しての要求&追求はきつくないですが、個人保証の差入有無、または差入方でビジネスが駄目になった場合の事業主のダメージは大きく変わってきます。ハワイでの事業損失のみで、個人の資産等は無傷で撤退される方もいれば、自分の資産まで根こそぎやられてしまう方もいらっしゃいます。ハワイに事業進出される方は、日本の各地で成功し、東京の銀座に出店し、ハワイで海外初進出、西海岸のロサンゼルス、そして東海岸のニューヨークに攻めるといったパターンが多いのですが、アメリカ本土にたどり着く前に散ってしまう可能性もあるので、Exit(事業撤退)の際にどうするかというシミュレーションを最初にしっかりと行っておくことが重要です。 失敗される方のパターンの具体例を言わせて頂ければ、まず日本とハワイを混同されているというのがあります。観光で何度もハワイを訪れた事業主が「英語を喋れなくてもOK」と誤解されて開業するパターンがありますが、ビジネスと観光は全く違います。バブル期に「日本がくしゃみしたら、ハワイが風邪をひく」などバカげたことを言った人もいますが、ハワイはアメリカです。英語でしっかりビジネスできる、またはそれをしっかり任せられるローカルのブレーンがいなければ、さまざまな面で躓きます。接客などの営業面もそうですが、その後の経理や税務をしっかりしないと、ビジネスとして支障が出てきます。 一例を挙げれば、いろいろな壁を乗り越えてやっと開業したレストランで、僕は仲介はもとより、会計帳簿の雛形まで作成して渡したクライアントがいましたが、スタートして6カ月後にハワイ州の税務署から届いたGET(売上げ税に類似)の未申告の通知を持って「これ何ですか」と相談に来られました。法人所得税の申告は1年毎で余裕がありますが、GETは毎月の収入に対するもので、金額によっては待ったなしで申告が必要です。そんな感じですから、提供する料理の味はとても良かったのですが、英語ができるはずのマネージャーがまともな接客できず、チップも含めた請求の間違いも多発し、一番大事な最初の1回転目のお客さんから酷評され、最初の数カ月以降、売上げが激減し、1年後に廃業へ追い込まれました。僕はオーナーさんのことをクライアントのそれを越えて、とても好きだったし、各メニューも気に入っていたので、とても悲しい気持ちになりましたが、最終的にはそのレストランを「高値で売る」ことぐらいしか、できることがありませんでした。

撤退までのベストな流れとは

尚、「レストランを売る」という表現は誤解を生み易いのですが、売り買いのほとんどが「①リースの引継ぎ(譲渡または新規)」と、「②付帯設備の購入」で、住宅のように対象不動産が全て自分のものになる訳ではありません。この対価を、当地の不動産用語ではプレミアム(Premium)と呼びます。では、Exitのベストシナリオですが、何とそれを専門分野としてレストラン業界で成功していた方もおられます。バイキングスタイルの大型日本食レストランを立ち上げ、行列が出来ている間に買主を探し、売り抜けてしまう…。住宅ではホノルルの高級コンドを竣工前に購入し、できあがったらすぐ高値で売却という「Flip」(例:1ミリオンドルで購入、1.2ミリオンドルで転売、20万ドルのインスタント利益=Middle Risk vs Very High Return)という手法を用いるツワモノもいますが、商業物件でそれをやるのは至難の技だと思います。基本的に、商業物件のExitのベストな形は営業中に売り抜けることです。実際には人件費等、運営費が厳しくてもそれを見せないというのが極意です。僕も、クライアントさんが閉店された物件を多々売り出しますが、購入候補の内覧時のリアクションは厳しい場合が多いです。当然Premium額も叩かれてしまうこととなります。

最後に一言。ホノルルには店舗が星の数ほどあります。僕の希望は、自分のクライアントさんの業成功率100%です。何かのご縁で一度でもお知り合いになった皆さんには、ぜひずっとハワイで笑顔で暮らして欲しいです。