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第3回 : ハワイ不動産、日米の違い1

このコラムでは、ハワイへの進出、又はハワイでの起業に際して必要となる「拠点」、不動産用語では「箱」などとも呼びますが、「大事な自分の城」となります。その選定、確保、開業まで不動産屋の視点と言葉でアドバイスします。

アロハ~!スターツハワイの池田多聞です。前回「ハワイ不動産、ここに気をつけて」で二発目の発信いたしましたが、今回は僕の専門である商業分野についてお話したいと思います。僕が米国で不動産の仕事をさせて頂いて25年、今まで経験してきた“日本のクライアントさんの認識"と“ハワイの一般的な商慣習の違い"には大きくわけて3つあります。

1. 現状回復義務

確かに、ハワイでのリース契約書条項にもその記載はありますが、出ていくテナントに対してそれを強要する家主はとても少ないです。理由は、そのテナント自体が出ていく多くの理由に破産のケースが多く、その履行を求められないこと、また家主としてはテナントが残した造作(ぞうさく)が自分の資産となるため、それを有効活用してくれるテナントを探す傾向が高いことです。僕はワイキキのクラスAビル、当時のANAビル(現Bank of Hawaii Waikiki Center)のジェネラルマネージャーとして1997年から2007年まで同プロジェクトを仕切りましたが、その間、現状復帰を求めたテナントの数はゼロです。

2. 敷金

クライアントであるBernini Honoluluのエントランスで撮影しました。地元でも圧倒的な人気を誇るイタリアンレストランです。

日本では、賃料の半年とか1年分を要求することが多いようですが、住宅での同敷金が消費者保護の観点から賃料の1ヵ月以上請求してはいけないという州法があるためか、商業のそれもグロス賃料の1ヵ月分という事例は多々あります。ただし商業リースの場合、事業主の個人保証を断ったりすると、2~3ヵ月で決着する場合もあります。アラモアナセンターの場合は例外で、日本の優良企業でも、米国初進出の場合は半年から1年のグロス賃料相当額を敷金として要求してきます。

3. 仲介手数料

これが僕の感覚としては一番の見定めポイントです。ハワイの場合、慣習として住宅売買の案件であれば、売主が通常6%の手数料負担をコミット(負担確認)し、売主エージェントと買主エージェントがそれを折半(3%)します。商業の場合はプレミアム(礼金のようなもの)の10%を売主がコミットし、エージェント間で折半、またはグロス賃料の2ヵ月分を売主がコミットし、同折半というのが一般的です。日本の慣習に準じて、身内に付けたエージェントにはご自分の支払い義務があると考える日本の方は多く、それを利用して、買主や借主のクライアントに対して仲介手数料を請求するハワイの商業不動産がたくさんいます。僕の知り合いにも残念ながらそういう輩はいます。これは仲介手数料の二重取りとなりますので、僕的にはNGです。自分が仲介業務以外、それ以上のサービスを提供するのであれば、堂々とコンサルティングやアドバイスフィーとしてそれを説明、了承してもらった上でクライアントに請求するのが筋だと考えます。なお、売主や貸主の仲介手数料負担に関しても例外があります。前出のアラモアナセンターですが、米国のショッピングモール所有会社大手であるGeneral Growth Properties(GGP)は、テナントを連れてくる借主エージェント(Outside Broker)に仲介手数料をオファーしません。GGPとしてはアラモアナセンターに自信を持っており、そのような費用を負担してまで募集しなくても、テナント候補はいくらでも来るという発想だと思います。でもハワイではこれは例外中の例外となります。僕も同センター内に数社クライアントがいますが、状況を説明の上、僕の手数料やフィーを負担して頂くことを事前に説明し、了解頂いた上で専任エージェント契約を締結しています。

そして最後に“違い"というよりは、日本であまり馴染みの無い、でも商業不動産の取引に際してよく出てくる用語が「プレミアム」です。よくレストランを売った、買ったなどと言いますし、確かにその取引にホノルル不動産協会が提供する売買契約書なども採用したりするのですが、これはほとんどの場合、対象のレストランを含む不動産を購入するのではなく、家主との商業リースを既存のテナントから引継ぎ、それ以外の動産等を売買するというのが同取引に係わる正式な記載となります。

次回は、この「プレミアム」について、詳しく説明させて頂こうと思います。